Memento Mori

      手繰り寄せられない糸を手にしてから、一体どれほどの時が経ったのか
      ・・・・・・あまり考えたくない
      もう、とうの昔に貴女の年齢を越えてしまった
      自分を振り返ってみて 
      当時まだ幼かった自分は 貴女に対する感情すらも理解できてはいなかった
      今でも理解しないようにしている自分がいる
      自分も時のめぐりの円に落ちた身
      だから貴女の元に行く事は叶わぬ事じゃあない

      今でも考える
      貴女の中に何を見ていたんだろう?
      貴女の中に何を望んでいたんだろう?
      貴女が命の果てに残したものは何だったんだろう?
      ――と

      若しかしたら 
      自分はそれを知っているのかもしれない
      ただ、気が付こうとしないだけで 貴女が生きていると思いたい故に
      解かっては、いるんだ・・・・・・

      だけれど
      失ったんだよ?いないんだよ?何も返ってこないんだよ?苦しんだ・・・・・よ?
      唯一人、貴女がいないというだけで 
      時の巡りに何の影響力を持たない真実なのに

      伸ばした手の先には何も存在していないのに、貴女がそこにいると思いたい
      貴女に、会いたい 
      そして自分の記憶の忘却の彼方 
      崖っぷちに置いてきた貴女のその声で
      もう一度 僕の名前を呼んで欲しい

      気が付きたくなんかなかったよ
      貴女が好きだ何て事